旅は順調そのものだった。
たくさんの人と会った。
ベトナム人も、日本人も、中国人も、韓国人も、フランス人、ロシア人もいた。
皆、一人旅をしていた。
言葉はほとんど通じないけれど、曖昧な英語と身振り手振りで、
一緒に笑ったり、ふざけたりすることができた。
そういう人は旅の達人ばかりで、
大きなカメラを持ってたくさんの場所に出かけ、
どんなものでも食べたし、タフで力強くてたくましかった。
若くて生命力にあふれていて、未来を自分で切り開くような、
それでいてマイペースで少し変わり者のような人ばかりだった。
ベトナムの人は商魂にあふれていた。
観光客とみればいろいろなものやサービスを勧めてくる。
靴磨き、財布、飲み物、日本の新聞、絵葉書、コーヒー豆、動物の置物…。
断られてもめげることはない。
が、海辺の砂浜まで財布を売り歩いているのには驚いた。
基本的に皆、親切な人が多い。
ぼったくりや危険な目に合うことがあるかと思ったが、
そういうことは想像していたよりずっと少なかった。
ホーチミンはバイクが多く排ガスがきついこと、交通ルールのあいまいさを除けば
街はとても衛生的だったし、物価は安いし、過ごしやすい場所だった。
当初はのんびりひとりで旅をするつもりだったのに、
たくさんの人と出会ってコミュニケーションをとることが楽しかった。
やっぱり人が好きなんだなぁと思う。
嫌な思いもたくさんしたし、ぼったくりみたいなのもいたけれど、それでも。
空をみたり、海を見たり、
草や虫や動物と触れ合いながら本当は考えたいことがあったのだけれど、
結局、なにも考えることはなかった。
見るものすべてが珍しかったし、たくさんのものが新鮮に映った。
観光客としての時間しか過ごせなかったからかもしれない。
苦手だと思っていた乗り物も全然大丈夫だった。
日本食のない生活も、水あたりなどの体調不良もなかった。
さんざんみんなに体調不良の洗礼を受けると脅かされていたのに。
これを機にいろんなところに行ってみるのも面白いかもしれない。
きれいな観光地よりも、ジリジリと緊張するような不自由な場所へ。
こんな機会を間接的に与えてくれた人たちに感謝したい。
