黄色い車に乗って旅に出る。
キーシリンダに鍵を入れて右に回す。
ぶるるんっ。
と嘶くような音を立てて不規則な振動が体に伝わってくる。
細いハンドルを握って、強めにアクセルをふかす。
特徴のある独特のリズムを聞いてニヤリとする。
今日は機嫌がいいみたいだ。
クラッチを離すと4本のタイヤが滑るようにするすると動いて、
徐々に振動が大きくなる。
アクセルと踏み込む。
どどどどど。
勢いよくエンジンが音を立てる。
鋭く加速しているような雰囲気。
まるで時速100キロは出ているような迫力のある音。
ふとスピードメーターの針は時速30キロあたりでふるふると揺れている。
後ろからやってきたおばちゃんのスクーターにまで追い越される始末。
派手な音と振動の割に全然進まない。
まるで口三味線だな、と思う。
性能は良くない。
とても気分屋で、機嫌が悪いと走ってくれない。
ハンドルを握っていると笑ったり、怒ったりしているのがわかる気がする。
洗車したり、手入れしたりして手間をかけないとへそを曲げる。
だけど。
ぼくはそういうものにたまらなく目がない。
かわいくて仕方がないのだ。
