一概に嘘をつくな、とは言わない。いっぱい嘘はついてきたし、これからもつくと思う。嘘をつくのはパワーがいる。正直に話すパワーの3倍くらい気を遣うし、面倒なことだと思う。年を重ねてその面倒さが身に染みてくると簡単に嘘がつけなくなる。正直に言ったほうら最終的には楽だしうまくいく。僕はそう思う。しかし嘘をつくセンスのある人もいるもので、そういう人は年々嘘つきになっていく。僕はそれを悪いこととは思わない。うまくつく嘘はそれなりに愛情もあると思うからだ。
よくないな、と思うのはその場しのぎにちょっとごまかす、というたぐいの嘘だ。これはたぶん癖みたいなものなんだろうと思う。本人も嘘をついている、という感覚はないのかもしれない。だから簡単にバレるような嘘をついてしまうのだろうと思う。
これをやり続けると人の信用を確実に失う。大した嘘ではないことが多いのだが、気が付いた方も指摘するのも面倒なので、嘘に気が付いても大抵見てみぬふりをする。それが積み重なっていくと、ああ、こいつはこいつのいうことは信用ならないな、ということになる。本人はきっとそう思われていることに気が付いていない。気の毒な話だ。だが自業自得だ。
人に対峙するとき、真剣に向き合っているか、そうでないか。それが本質にあると思う。もっと突き詰めると自分と向き合っているか、そうでないか、ということにもつながってくる。だからごまかすのはやめたほうがいいですよ、と指摘しても本人にあまり自覚がないため効力を示さない。自分がごまかしているという事実を自分でごまかしている。禅問答みたい話だ。
そうしなければ生きてこれなかった背景などもあるのかもしれないが、親しい人がこの症状だった場合、見ていてあまりのも悲しくてつらい。余計なお世話とはわかっているのだが。

