例えばセミナーや研修のような多くの人の集まるところで自分を紹介する機会があるとする。そこにいる人のほとんどが初対面で、いろんな立場の人がいるから話す内容は自然と無難な内容に終始する。探り合い、といえば言葉は悪いが、相手との距離感を計っている間に短い時間が経過し、ただすれ違うためだけの時間が終わる。手元に残るのは二度と見ることのない名刺の束。
先日、尊敬する2名の先輩の友人を紹介していただいた。立派な肩書を持つ方々で僕みたいなものが普通に生きていて出会う人たちではない。お二方が飲んでいる場所に合流させていただいて、挨拶から始まりデンキブランで乾杯した。ちなみに僕はデンキブランというものを初めていただいた。喉が焼けるように熱くなった。とてもおいしいお酒だった。
初対面の僕にも話が分かるように解説していただきながら飲み会は進んだ。仕事に生きる人たちが集まっているので、仕事の話になるかと思いきや、そんなこともなかった。主に人に対しての接し方や思い、考え方についての会話が大きかった。若造の僕が自然に意見できるような穏やかな飲み会だ。
宴たけなわのところでカラオケに移行した。これは予想外だった。僕は年配の皆さまの選曲を見ながら、無難にこなした。若いころから社会に出ていたおかげで少し年上の人たちとのカラオケには困らない。
最後は老舗の蕎麦屋でカレーを食べてお開き。女将さんが切り盛りする蕎麦屋は店構えから雰囲気があり、カレーもそばも良心的な価格と庶民的な味がして少しほっとした。目上の人たちと食事する緊張感からちょっと解放されるような味だった。
人と会うのは人からの紹介に限る。特に僕のような偏狭な人間には。その偏狭さを面白いと言ってかわいがっていただけると僕としては非常に助かる。生意気な口もきいたが本音でお話させていただくことができた。とても感謝している。人との出会いの連鎖には人の紹介が不可欠だ。無意味なセミナーや会合への参加は、ただでさえ億劫なのだがこれから余計足が遠のくことだろう。

