最近は嘘に疲れている。嘘に気が付きながら、騙されているふりをしてこちらも嘘をつく。生産性のない消耗するだけの日常で心身が疲労していく中で、体を動かすことでストレス発散できていることを実感する。
数か月前からまたジョギングを始めた。月謝ばかり払っていてほとんど使っていないスポーツジムを有効活用しようと気まぐれに思い立った。受付の女性は僕のことを初めて見たに違いない。
スポーツジムに来たからには当然体を動かすわけだけど、全然思い通りに自分の体が動かない。持ち上げられるはずのバーベルはピクリとしか動かないし、走れるはずの距離の半分にも満たずに息が上がってしまう。現実とは残酷なものだな、と思う。バーベルの重りも、ランニングマシンもちょっとくらい愛想よくしてくれてもいいのに、そんな融通は一切きかない。サービス精神ゼロだ。スポーツジムの器具たちにおもてなしの気持ちなどさらさらないんだなと悟る。逆恨みだ。
仕方がないので、バーベルを軽くする。走るスピードを落とす。ああ、こんなにも体力がなくなってしまったのだな、という絶望感とともに軽いバーベルを上げ、歩くのに近いスピードで走る。屈辱的な気分だ。
しかしそんなことを数週間続けているうちに、バーベルも走る距離も自分のイメージ通りのところまで戻ってくる。体の組織なのか、筋肉なのかが昔の自分を覚えているとしか思えないくらい、スッと元の自分に戻ってくれる。バーベルもランニングマシンも愛想はないが、バカ正直なはずなので、たぶん僕の体力は戻ってきているのだろう。疑うことなくそう思えると安心する。
自分の身体と向き合う時は正直でいられる。駆け引きも必要ないし、嘘が介在する余地もない。筋肉を鍛えれば鍛えた分だけ身についていくし、怠ければ退化して衰えていく。非常ともいえるが、それが当たり前だしシンプルでわかりやすくてとても気持ちが良い。
日常生活もシンプルに正直に生きていきたい。今の状態を何とかしなければ自分自身がおかしくなってしまうと頭では理解している。

