新しいことをはじめてみたくなったり、突然冒険みたいなことをしてみたくなったりする僕としては、「始まりの場所」みたいなところに印をつけておきたいと思うことがある。それを僕は「北極星」と呼んでいる。道に迷ってもそこまで戻ってくれば帰れるという場所。
北極星は過去には意識せずともいくらでもあった。家族だったり、古い友人であったり、昔からの自分を知る人だ。彼らは僕のことを幼いころから知っているから、大きな変化をしようとすると過剰に反応する人が多かった。僕は自分からそういう場所を遠ざけた。慣習や常識にとらわれることを恐れたから、というと少しはかっこよく聞こえるが、鬱陶しかっただだけだ。
世間知らずな状態のまま社会に出て、未熟な僕を受け入れてくれた人たちと出会った。仕事を初めてたくさんのことを教えてくれた先輩たちだ。先輩たちについていくために必死だったことを覚えている。
ビジネスに関していえば僕は一番最初に仕事を教えてくれた人たちを北極星にしてきたと思う。幸いなことにその北極星の人たちは仕事の分野は変われど、一本筋の通った思いを持つ人が多かった。事業の失敗や成功はあるにせよ、心根の部分で尊敬する思いが変化することはなかった。
今、僕が自由に好きなことをできるのは先人たちが北極星でいてくれるからだ。そのことを感謝しなければならない。時には説教や戒めが面倒だと思うときもあるが、それでも。僕はまだ今のところふらふらしてばかりいる。誰かの北極星になれる日はまだまだ先のことなんだろうな、と思う。

