ぼくはきみの家を訪ね、その家の扉を叩く。
とんとん。
返事はない。
きみのことだからまたどこかに出かけているのだな。
いつものことだ。
渡すはずのプレゼントを手に持ったまま、ぼくはその場を立ち去る。
いつものようにきみに渡したいものがあった。
きみの好きな、はちみつと納豆。
おかしな組み合わせだと思うけれど、きみは納豆にはちみつをかけて食べるのが大好きだから。
でも実はきみは家の中にいたんだよね。
居留守を使ったわけじゃないことはわかっている。
ぼくの扉の叩く音の聞こえないどこか。
すっぽりと穴の中に入り込んでしまうような奇妙なところ。
そんな場所にいつのまにか迷い込んでしまっていたんだ。
ぼくはきみに起こっていることには何も気が付かずに、
鼻唄を歌い、はちみつをぺちゃぺちゃとなめながら家路についた。
あの時、もっとつよく扉をノックしていたら、きみに気がついてもらえたのかな?
奇妙なところから連れ出すことが出来たのかな?
