おばあさんは毎日おじいさんのために食事を作る。
おじいさんはおばあさんの作る食事を美味しいと思ったことは一度もなかった。
おばあさんもおじいさんが美味しいと思って食事をしていないことを知っていた。
なぜなら自分の作る食事は美味しくないとおばあさんも感じていたから。
おじいさんもおばあさんに食事が美味しくないと一度も告げることはなかった。
滋養のあるものを食べられることにおじいさんは満足していたから。
感謝の気持ちはあれど、美味しくないことに文句を言おうなどと思ったことはなかった。
だけどおばあさんは自分の作る食事がまずいことをとても気にしていた。
おじいさんは優しいから口に出さないだけで、本当は自分の作る食事に不満があるのだとずっと思っていた。
だから食事を作るのはおばあさんにとって本当はとても苦痛だった。
おじいさんはおばあさんが毎日食事を作ることが、そんなに苦痛であることを知らなかった。
もし知っていたら、おじいさんも少しは自分で食事の支度を手伝ったかもしれない。
ふたりはいつも食事中は何もしゃべらない。
もくもくと食事をしている。
