雨が降ればそこに小さな水がたまる。
その程度の小さなくぼみだから、もっともっと雨が降れば、
水はくぼみをあふれて低い方へ流れていく。
雨が止めば数日は水がたまっているけれど、
晴れてしまえばあっという間に蒸発して水はなくなってしまう。
くぼみはずっと水にそばにいてほしいと思う。
だけどその願いはかなうことはない。
水がない時は雨を心待ちにしている。
ある雨の日、くぼみには水があふれるほどたまっていた。
くぼみは幸せだった。
ずっとこのまま雨水を自分のものにしたいと思った。
けれどまたいつかいなくなってしまうことを知っていた。
くぼみは水のことを考えるのをやめようとした。
気まぐれな雨でぼくは時々雨水で満たされるけれど、
それが続くことはない。
くぼみの望みがかなうことはないのだ。
くぼみはすべての水に対しての関心を捨てた。
なにもなくていい。
最初から空っぽなら、期待しないなら、
くぼみも期待したりししない。
心を閉ざしたくぼみは、
ある日の午後に掘り返され、ロードローラーで平らにされてしまって、
くぼみですらなくなってしまった。
