父親から手作りの野菜が自宅に送られてきた。にんにくとじゃがいもとたまねぎ。どれもきれいにできていた。官僚だった父親が野菜を作って自分に送ってくる時代が来るなんて想像もしていなかった。農家の子どもだったんだな、と改めて思う。
もらった野菜を僕は友人にそのままあげてしまった。僕には調理できそうにない、というのがその理由だった。友人は二人目の子どもが生まれたばかりで、友人の奥さんのご両親が、産後の奥さんを助けるために遠方から来ていた。友人は野菜を快く受け取ってくれ、僕は生まれたばかりの赤ちゃんを眺める機会を得た。
帰り道、父親に野菜のお礼を言った。たまねぎはスライスしてサラダにして食べた、じゃがいもは煮ものにした、にんにくはパスタにして食べたことにした。口からすらすらとでたらめが出てくる。父親は電話口でうれしそうにしていた。また送るから、と言ってくれた。
親子ってなんだろうな、と思う。いびつな形に歪んだ家族のかたちに目を背けるように普通の家族を演じているように思える。遠くにいて会うこともないし、帰ってこいとか会いたいとかいうものの、本当に会う気はないように思う。都合の良い関係をきっとどちらかが死ぬまで続けるのだろうな、と思う。

