現実の世界に大きな壁を作って空想の中に生きている。そこには毎日違う人間に生まれ変わることのできる女の子がいて、1日中オルゴールを聞いて過ごしている。
夜の町には亡霊や宇宙人やフランケンが現れるけれど、登場人物はみんな穏やかで女の子の安全を犯したりはしない。歌を歌ったり、花を慈しんだりして過ごしている。
僕もその世界に招待されたことがある。僕が招待された場所は窓のとカーテンが印象的な小さな部屋だった。その窓から色々な景色や好きなものを見ることができた。飛び立つ鳥、キノコの生い茂る場所、いつか死んだ仲の良かったネコ。
とても居心地の良い場所で長居したいと思って女の子にお願いした。僕をもう少しここにいさせてくれないか?
だけど女の子は僕を拒んだ。女のことは何も言葉を発さなかったけれど拒まれていることははっきりと理解できた。僕がその世界にいられない理由は僕自身が分かっていた。僕はいつか女の子の望む平和を脅かす存在になるに違いなかった。
現実の世界に戻ってくると女の子の世界への入り口は絶たれていて、二度と訪れることはできなかった。だけど、その世界から持ち帰った手袋と小さな手作りの本が手元に今も残されていて、窓から見えた景色は今でもはっきり覚えている。

