かえると蓮の葉

池の周りには石垣があって、その石垣の上に緑色のかえるが一匹ただずんでいる。

池を眺めて微動だにしないかえるは、中世の哲学者の趣があるようにみえる。

 

どこからか蓮の葉が風に流されてふわふわとやってきて、

かえるの前を音もなく通り過ぎようとしている。

 

かえるは蓮の葉を凝視している。

かえるは蓮の葉に飛び移ろうとしている。

蓮の葉はそんなかえるに飛び移られないよう、しれっと通り過ぎようとしている。

 

ぼくは事の成り行きを見守ろうとかえると蓮の葉をじっくり観察する。

 

しかし現実にはかえるは飛び移りはしないし、

蓮の葉もただ風に流されてそこを通り過ぎていくだけだった。

何も起こらない。

 

こちらの都合で勝手にストーリーを作り上げてみても、

現実には何も起こらない。

ただ時間が過ぎていくだけ。

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