パーティの後偶然出会った人

その人に出会ったのは休日の午後だった。ちょっとした(とてもつまらない)パーティで出会った。僕の知人に誘われて参加したのだが、知人は見知らぬ人との挨拶に忙しそうで僕は退屈していた。その人も居場所がなさそうにひとりで立っていた。退屈ですね、と声をかけ1時間ほど他愛のない立ち話をした。

背が高く、すらりとした美人だった。来ていたドレスはとても似合っていた。神経質で繊細そうにも見えたが話してみると言いたいことをはっきり言う、先生みたいな話し方をした。学校の先生だという。なるほど、と思った。

2回目にあったのは偶然だった。大きな駅で打ち合わせを終えたあと、辺りをぶらぶらと歩いていた。僕は動いている時の方がいろいろなアイデアが出るタイプなのだ。僕がその人に気が付いたとき、その人は僕に気が付いていたように見えた。あ、と声を掛けたら驚く様子もなく立ち止まって、ニコッと笑いかけてくれた。そのままぼくたちは食事に行った。その人がお酒が好きではないと言ったからだ。

清楚でお嬢様のような外見と裏腹にその人はとてもはっきりとした口調で話した。今の仕事のこと、過去の恋愛のこと、人生観について。この世の無秩序さや矛盾にイライラしているように感じられた。完璧主義で努力家で、理不尽なことに折り合いがつかないんだろう。相変わらずはっきりと意見を言うので強気にも思えるが、言葉ほど心が強くないんだろうな、と思った。僕は黙って話を聞いていた。怒ったり笑ったりしながら話は続いていた。

夕方から深夜の入り口くらいまで話してお別れした。その人は僕を駅の改札まで送るという。いっぱい厳しいことを言ってしまって申し訳ない、と何度も言われた。思い返してみると意見の食い違いはたくさんあったが、僕自身もかなり本音を引き出されていたように思う。どちらかというと楽しい食事だった。改札の前まで送ってもらって、ありがとう。と伝えると笑顔のまま手を振ってくれた。次の瞬間、くるりと後ろを向くと一度も振り返ることなく、さっそうと人ごみに消えていった。

次の約束はない。おそらく偶然でもない限り会うこともないだろう。だけど不思議と印象に残る人だった。僕が今まで出会ったことのないタイプだったからかもしれない。男性は学歴と収入と性格が大事、とその人は言った。残念ながら僕は何ひとつ満たせそうにない。

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