完璧な悪い奴がどこかにいてくれたら楽に生きていけるだろう。悪を懲らしめるために。善を守るために。命を懸けることができたかもしれないのに。
悪い奴は強くなくてはならない。力のない弱い奴はそんなに悪いことができない。
悪い奴は憎まれなきゃならない。懲らしめたときにみんなが喜んでくれるからこそ命を懸けられるから。
悪い奴は頭が悪くなきゃいけない。主義や思想はなく、自分の欲求を満たすだけの存在でいてほしい。
悪い奴は愛嬌があってはいけない。かわいい悪い奴なんて人気が出てしまうかもしれない。
やっぱりそんな悪い奴はいない。悪い奴になるにはそれなりの理由があるんじゃないかと思う。時間をかけて話していたら悪い奴に感情移入してしまうかもしれない。
人を殺すのは悪いことだ。そしてとても悲しいことだ。親しい人を殺されたら、殺したやつを殺したいと思う。そいつを殺したらそいつの親しい人はぼくを殺しにくるかもしれない。
悪い奴のことを考えると悲しくなるばかりだ。なんでこんなに悲しくなるのだろう。
ぼく自身が悪い奴だからだ。力はとても弱いけれど。

